鼻づまり(鼻閉)に対する治療

鼻づまりをなんとかしたい

鼻づまりは、単なる不快な症状ではありません。

鼻で呼吸しづらい状態が続くと、睡眠の質が低下したり、集中力が落ちたり、日中のだるさや頭重感につながることがあります。口呼吸が増えることで、のどの乾燥やいびきの原因になることもあります。

鼻づまりの原因は一つではなく、鼻中隔弯曲症、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、薬剤性鼻炎など、さまざまな病気が関係します。

当院では、内視鏡検査やCT検査などで鼻づまりの原因を確認し、薬による治療から日帰り手術まで、患者さんの状態に合わせた治療を提案しています。

鼻づまりを引き起こす代表的な病気

代表的な症状

症状だけでは診断できませんが、症状から推測される病気です。

鼻中隔弯曲症

鼻の中は、鼻中隔という仕切りによって左右に分かれています。

この鼻中隔が左右どちらかに強く曲がっていたり、S字状に曲がっていたりすると、空気の通り道が狭くなり、鼻づまりの原因になります。

片側だけがいつもつまる方、左右差のある鼻づまりがある方、薬を使っても鼻づまりが改善しにくい方では、鼻中隔弯曲症が関係していることがあります。

アレルギー性鼻炎

花粉、ダニ、ハウスダストなどに対するアレルギー反応によって、鼻の粘膜に炎症が起こる病気です。

くしゃみ、鼻水、鼻づまりが代表的な症状ですが、特に下鼻甲介という粘膜のヒダが大きく腫れると、強い鼻づまりを感じるようになります。

薬で症状を抑えられることも多い一方で、長年薬を使っても鼻づまりが残る場合や、薬をやめるとすぐにつまる場合には、手術治療を検討することがあります。

慢性副鼻腔炎

副鼻腔に長期間炎症が続く病気です。

鼻水、後鼻漏、頭重感、嗅覚障害などの症状に加えて、鼻茸と呼ばれるポリープができると、鼻の空気の通り道がふさがれ、強い鼻づまりを起こします。特に喘息をお持ちの方では、好酸球性副鼻腔炎というタイプの副鼻腔炎が関係していることがあります。

薬剤性鼻炎

市販の点鼻薬の中には、血管収縮薬が含まれているものがあります。

これらは一時的に鼻づまりを改善しますが、長期間にわたって頻回に使用すると、効果が切れた後に粘膜がさらに腫れる「リバウンド」が起こり、かえって鼻づまりが悪化することがあります。点鼻薬を使わないと鼻が通らない状態になっている場合は、薬剤性鼻炎の可能性があります。まずは点鼻薬の使い方を見直すことが重要ですが、下鼻甲介の腫れが強く残る場合には、手術を検討することもあります。

鼻・副鼻腔腫瘍

頻度は高くありませんが、鼻や副鼻腔に腫瘍ができることで鼻づまりが起こることもあります。特に片側だけの鼻づまりが続く場合、鼻血を伴う場合、ポリープと言われているものが片側だけにある場合などは、内視鏡検査やCT、必要に応じてMRIなどで詳しく調べることが大切です。

鼻づまりの原因チェック

鼻づまりの原因は一つではありません
鼻づまりは、アレルギー性鼻炎だけでなく、鼻中隔弯曲症、慢性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎、薬剤性鼻炎、鼻茸など、さまざまな病気で起こります。症状の出方によって、原因をある程度予想できることがあります。

片側だけ鼻がつまる

片側だけの鼻づまりが続く場合は、鼻中隔弯曲症、鼻茸、慢性副鼻腔炎、まれに腫瘍などが関係していることがあります。特に、片側だけの鼻づまりが長く続く場合や、鼻血を伴う場合は、内視鏡検査やCT検査で確認することが大切です。

夜になると鼻がつまる

横になると鼻の粘膜が腫れやすくなり、鼻づまりが強くなることがあります。

アレルギー性鼻炎、肥厚性鼻炎、鼻中隔弯曲症などが関係している場合があります。

夜間の鼻づまりは、睡眠の質を下げ、日中の眠気や集中力低下につながることがあります。

朝にくしゃみ・鼻水が多い

朝にくしゃみや鼻水が多い場合は、ダニ、ハウスダスト、寝具のほこりなどによる通年性アレルギー性鼻炎が関係していることがあります。寝室環境の見直しや薬物治療で改善する場合があります。

花粉の時期だけ悪化する

春や秋など、決まった季節に症状が悪化する場合は、花粉症の可能性があります。

北海道では、シラカバやハンノキ、イネ科、ヨモギ、ブタクサなどが原因になることがあります。道南や札幌の一部では、スギ花粉の影響を受けることもあります。

一年中鼻がつまる

一年中鼻づまりが続く場合は、通年性アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、下鼻甲介の肥厚、慢性副鼻腔炎などが考えられます。薬だけで改善しにくい場合は、鼻の構造や副鼻腔の状態を確認することが重要です。

市販の点鼻薬が手放せない

血管収縮薬を含む市販の点鼻薬を長期間使用すると、かえって鼻づまりが悪化することがあります。これを薬剤性鼻炎といいます。

点鼻薬を使わないと鼻が通らない状態になっている場合は、治療の見直しが必要です。

においが分かりにくい

においが分かりにくい場合は、慢性副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎が関係していることがあります。特に鼻茸がある方、喘息がある方では注意が必要です。嗅覚障害は、早めに原因を調べることが大切です。

鼻水がのどに流れる

鼻水がのどに流れる症状を後鼻漏といいます。

慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、好酸球性副鼻腔炎などで起こります。

後鼻漏は、咳、痰、のどの違和感の原因になることもあります。

鼻づまりに対する治療

鼻づまりの治療は、原因によって異なります。

アレルギー性鼻炎による鼻づまりでは、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイド、鼻洗浄などを組み合わせて治療します。

慢性副鼻腔炎では、鼻洗浄、内服薬、点鼻薬などによって炎症を抑える治療を行います。

当院では、鼻洗浄を積極的におすすめしています。鼻の中を清潔に保ち、粘膜の状態を整えることで、薬の効果を高めたり、症状を安定させたりすることが期待できます。

一方で、次のような場合には手術治療を検討します。

  • 鼻中隔の曲がりが強く、空気の通り道が狭い場合
  • 薬を続けても鼻づまりが十分に改善しない場合
  • 薬をやめるとすぐに鼻づまりが戻る場合
  • 下鼻甲介の腫れが強く、慢性的に鼻の通りが悪い場合
  • 鼻茸や副鼻腔炎により鼻の中がふさがっている場合
  • 市販の点鼻薬をやめられない状態になっている場合

年齢や持病、全身状態によっては、薬による治療を続ける方が安全な場合もあります。

そのため、当院では検査結果と患者さんの生活状況をふまえて、薬物治療と手術治療のどちらが適しているかを相談しながら決めていきます。

鼻づまりに対する主な手術

鼻中隔矯正術

鼻中隔弯曲症に対する手術です。

内視鏡を用いて鼻の中から操作を行い、曲がっている軟骨や骨の一部を整えることで、鼻の空気の通り道を広げます。

鼻中隔の曲がりが強い方では、鼻づまり改善のために重要な手術となります。

外から見える部分に傷はつきません。

下鼻甲介手術

アレルギー性鼻炎や肥厚性鼻炎、薬剤性鼻炎などで下鼻甲介が大きく腫れている場合に行う手術です。

下鼻甲介は、鼻の中で空気を加湿・加温する大切な粘膜です。

そのため、単純に大きく切除するのではなく、できるだけ粘膜の表面を温存しながら、粘膜の下の組織や骨の厚みを減らす方法を選択します。

鼻の乾燥感や違和感をできるだけ少なくしながら、鼻づまりの改善を目指します。

後鼻神経切断術

アレルギー性鼻炎による鼻水、くしゃみ、鼻づまりが強い方に行う手術です。

鼻の奥にある後鼻神経という神経を処理することで、過剰な鼻水やくしゃみ、鼻の過敏な反応を抑えることを目的とします。

後鼻神経は、においを感じる神経とは異なるため、この手術によって嗅覚が失われるわけではありません。

内視鏡下副鼻腔手術

慢性副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎によって鼻茸ができている場合、副鼻腔の出口がふさがっている場合に行う手術です。

内視鏡を用いて鼻の中から操作を行い、炎症で狭くなった副鼻腔の通り道を広げます。

副鼻腔の換気を改善し、鼻づまり、鼻水、後鼻漏、嗅覚障害などの改善を目指します。

当院での手術について

当院では、鼻づまりに対する日帰り手術を行っています。
手術は鼻の中から内視鏡を用いて行うため、顔に傷が残ることはありません。
手術中の不安や痛みをできるだけ軽減できるように、患者さんの状態に応じて麻酔方法を選択します。
また、内視鏡システムを用いて、鼻の奥の細かい構造を確認しながら手術を行います。
日帰り手術は、入院期間を短くできる一方で、すべての方に適しているわけではありません。
持病、年齢、全身状態、手術内容、術後のサポート体制などを確認したうえで、安全に行えるかどうかを判断します。
必要に応じて、連携医療機関での入院をおすすめする場合もあります。


■手術後の経過とケア

手術後は、鼻の中に止血や傷の保護のための詰め物を入れます。
そのため、手術直後から数日は鼻づまりを感じやすくなります。
術後13日目に一部の詰め物を取り除くと、少しずつ鼻で呼吸しやすくなります。
ただし、手術後しばらくは鼻の粘膜が腫れているため、すぐに完全にすっきりするわけではありません。多くの場合、1週間程度で徐々に鼻の通りが改善していきます。
術後は鼻洗浄がとても大切です。
鼻の中のかさぶたや分泌物を洗い流し、傷を清潔に保つことで、回復を助けます。
また、鼻の入り口を乾燥させないように保湿を行うこともあります。
術後の処置や鼻洗浄の方法については、診察時に具体的に説明します。


手術のリスクと合併症

鼻の手術は安全に行えるよう十分に配慮しますが、手術である以上、合併症の可能性はゼロではありません。

【出血】

手術後に少量の出血がみられることがあります。

多くは自然に少なくなっていきますが、出血が続く場合には外来で止血処置を行うことがあります。術後しばらくは、強く鼻をかむこと、激しい運動、飲酒、長時間の入浴などは避けていただきます。

【痛み】

手術後に痛みを感じることがありますが、痛み止めを使用しながらコントロールします。

痛みの程度には個人差がありますが、強い痛みが続く場合には早めにご相談ください。

【発熱】

手術後12日程度、軽い発熱がみられることがあります。

高熱が続く場合や、強い痛み、悪臭のある鼻水などを伴う場合には、感染の可能性もあるため診察が必要です。

【鼻づまり】

手術直後は、詰め物や粘膜の腫れにより一時的に鼻づまりが強くなります。

術後の処置や鼻洗浄を続けることで、徐々に改善していきます。

【鼻中隔穿孔】

鼻中隔の粘膜に穴があくことを鼻中隔穿孔といいます。

弯曲が非常に強い場合や、骨や軟骨がトゲのように突出している場合にはリスクが高くなります。必要に応じて粘膜を保護しながら手術を行います。

【鼻中隔血腫】

鼻中隔の中に血液がたまる状態です。

まれな合併症ですが、術後に強い鼻づまりや痛みがある場合には処置が必要になることがあります。

【鼻の形の変化】

1%未満の頻度で生じる可能性があります。

鼻中隔の手術では、鼻を支える構造を保つことが重要です。

手術では鼻の支持組織をできるだけ温存し、鼻の形が変わらないよう注意して行います。

【鼻の乾燥感】

下鼻甲介の手術では、粘膜を大きく取りすぎると乾燥感や違和感の原因になることがあります。当院では、鼻の粘膜機能をできるだけ保つ方法を選択し、乾燥感を少なくするよう配慮しています。

■手術時間の目安

手術時間は、病気の状態や手術の組み合わせによって異なります。

鼻中隔矯正術、下鼻甲介手術、後鼻神経切断術を組み合わせる場合は、おおよそ1時間半前後が目安です。

慢性副鼻腔炎や鼻茸に対する内視鏡下副鼻腔手術を行う場合は、副鼻腔炎の範囲によって手術時間が変わります。

詳しい手術時間については、CT検査や内視鏡検査の結果を確認したうえでご説明します。


■手術費用について

鼻づまりに対する手術は、保険診療で行います。

実際の費用は、手術内容、麻酔方法、片側か両側か、組み合わせる手術の種類によって異なります。

また、手術を行う場合には高額療養費制度を利用できることがあります。

自己負担額は年齢や所得区分によって異なりますので、詳しくは診察時にご相談ください。


■額療養費制度について

高額療養費制度とは、1か月に医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が一定の上限額を超えた場合に、その超えた分が支給される制度です。

手術を受ける場合、多くの方がこの制度の対象になります。

マイナンバーカードの健康保険証利用、または限度額適用認定証を利用することで、窓口での支払いを自己負担上限額までに抑えられる場合があります。

鼻づまりでお困りの方へ
鼻づまりの原因は人によって異なります。 薬で改善しやすい鼻づまりもあれば、鼻の構造やポリープが原因となっており、 手術でなければ十分に改善しにくい鼻づまりもあります。 「長年、鼻づまりが続いている」 「薬を使ってもすっきりしない」 「市販の点鼻薬が手放せない」 「片側だけいつも鼻がつまる」 「鼻づまりで眠りが浅い」 このような症状がある方は、一度ご相談ください。 検査で原因を確認し、薬による治療から日帰り手術まで、 患者さんに合った治療方法をご提案します。