鼻中隔弯曲症

鼻中隔弯曲症とは

中隔弯曲症とは、鼻の中を左右に分けている「鼻中隔」という仕切りが、大きく曲がっている状態です。

成人では、多くの方で鼻中隔が多少左右どちらかに曲がっています。

軽い曲がりであれば問題になることはありません。

しかし、曲がりが強くなると、鼻の空気の通り道が狭くなり、鼻づまりの原因になります。

片側だけがいつもつまる、左右どちらも通りにくい、寝ていると鼻づまりが強くなる、薬を使っても改善しにくいといった症状がある場合には、鼻中隔弯曲症が関係していることがあります。

鼻中隔弯曲症の原因

鼻中隔は、鼻中隔軟骨、鋤骨、篩骨正中板という軟骨や骨でできています。

成長の過程で、軟骨と骨の発育のバランスが崩れると、鼻中隔が少しずつ曲がっていきます。

特に思春期にかけて鼻の成長が進むため、10歳頃から曲がりが目立ち始め、女性では13〜15歳頃、男性では15〜18歳頃に弯曲がはっきりしてくることがあります。

また、幼少期に鼻をぶつけたことや、外傷が原因で鼻中隔が曲がることもあります。

外から見た鼻の曲がりを伴っている場合には、鼻の骨や軟骨が変形したまま治っていることもあります。

鼻中隔の曲がり方は人によってさまざまで、前方で曲がっている方、奥で曲がっている方、S字状に曲がっている方、骨がトゲのように突出している方もいます

鼻中隔弯曲症で起こる症状

鼻中隔弯曲症では、主に鼻づまりが起こります。

特に次のような症状がある場合には、鼻中隔弯曲症が関係している可能性があります。

  • 片側の鼻がいつもつまる
  • 左右交互に鼻がつまる
  • 両側の鼻が通りにくい
  • 寝ていると鼻づまりが強くなる
  • 口呼吸になりやすい
  • いびきを指摘される
  • 薬を使っても鼻づまりが改善しにくい
  • 鼻炎や副鼻腔炎を繰り返す

鼻中隔が曲がっていると、鼻の中の空気の流れが乱れ、周囲の粘膜が腫れやすくなることがあります。

そのため、アレルギー性鼻炎や肥厚性鼻炎、慢性副鼻腔炎を伴うと、鼻づまりがさらに強くなります。

鼻中隔弯曲症の検査

鼻中隔弯曲症では、鼻中隔の曲がり方だけでなく、鼻の粘膜の腫れ、副鼻腔炎、鼻茸、アレルギー性鼻炎などを一緒に確認することが大切です。

視診・前鼻鏡検査

鼻鏡という器具で鼻の入口を広げ、鼻中隔の曲がりを直接確認します。

特に鼻の前方で強く曲がっている場合には、この検査で曲がりの程度が分かることがあります。

外から見た鼻の曲がりがある場合には、外鼻の形も確認します。

鼻内視鏡検査

細い内視鏡を鼻の中に入れて、鼻腔内を詳しく観察します。

鼻中隔の曲がり方、下鼻甲介の腫れ、鼻茸の有無、鼻水の状態、副鼻腔炎を疑う所見がないかを確認します。鼻の奥の曲がりや、前鼻鏡では見えにくい部分を評価するために重要な検査です。

鼻腔通気度検査

鼻の空気の通りにくさを客観的に調べる検査です。

左右それぞれの鼻の抵抗や、両側で呼吸したときの空気抵抗を測定します。

手術前の評価だけでなく、手術後に鼻づまりがどの程度改善したかを確認する際にも役立ちます。

CT検査

CT検査では、鼻中隔の曲がり方や骨の形、副鼻腔炎の有無を詳しく確認できます。

鼻中隔の奥の曲がり、骨の突出、下鼻甲介の肥厚、中鼻甲介蜂巣、副鼻腔の粘膜の腫れなども評価できます。手術を検討する場合には、どの部分をどのように治療するかを判断するために重要な検査です。

鼻中隔弯曲症の治療

■薬による治療

鼻中隔そのものの曲がりは、薬で治すことはできません。
ただし、鼻中隔の曲がりに加えて、アレルギー性鼻炎や粘膜の腫れがある場合には、薬によって鼻づまりが軽くなることがあります。
抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイド薬、鼻洗浄などを組み合わせて治療します。
軽い鼻づまりであれば、薬物治療や鼻洗浄で症状をコントロールできる場合もあります。
一方で、鼻中隔の曲がりが強い場合には、薬を使っても十分に改善しないことがあります。

手術による治療

薬による治療を行っても鼻づまりが改善しない場合や、日常生活に支障がある場合には、手術を検討します。
鼻中隔弯曲症に対する手術は、鼻中隔矯正術、または内視鏡下鼻中隔手術と呼ばれます。
内視鏡を用いて鼻の中から操作を行い、曲がっている軟骨や骨を整えることで、鼻の空気の通り道を広げます。
顔の表面に傷がつくことはありません。
鼻中隔の曲がり方は人によって異なるため、曲がっている場所や程度に応じて手術方法を選択します。
前方で曲がっている場合、奥で骨が突出している場合、S字状に曲がっている場合など、それぞれに適した方法で鼻の通りを改善します。

他の手術を組み合わせる場合

鼻中隔弯曲症の方では、下鼻甲介が腫れていることもよくあります。

これは、鼻中隔が曲がっている反対側の空間が広くなることで、下鼻甲介が代償的に大きくなるためです。

そのため、鼻中隔矯正術だけでなく、下鼻甲介手術を同時に行うことで、より鼻の通りが改善しやすくなる場合があります。

また、アレルギー性鼻炎が強い方では、後鼻神経切断術を組み合わせることがあります。

慢性副鼻腔炎を伴っている場合には、内視鏡下副鼻腔手術を同時に行うこともあります。

鼻づまりの原因が鼻中隔だけなのか、粘膜の腫れや副鼻腔炎も関係しているのかを確認したうえで、必要な手術を組み合わせて治療します。

鼻中隔弯曲症でお困りの方へ
鼻中隔が曲がっていても、症状がなければ治療の必要はありません。 しかし、鼻づまりが強い、薬を使っても改善しない、睡眠や仕事に影響している場合には、治療を検討する価値があります。 「片側だけ鼻がつまる」 「昔から鼻の通りが悪い」 「鼻炎の薬を使っても鼻づまりが残る」 「寝ていると口呼吸になる」 「鼻づまりで眠りが浅い」 「鼻の曲がりを指摘されたことがある」 このような症状がある方は、一度ご相談ください。 内視鏡検査やCT検査で鼻の中の状態を確認し、薬による治療でよいのか、手術が適しているのかを判断します。